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もっとさっさとやっておくべきであった。

断片 (このサイトのどこかにあるもの)

「今夜は歌うのにぴったりな夜だ。」とスナフキンは考えた。「新しい歌をつくってみよう。1割はわくわくするような期待、2割は春を待ち焦がれる思い、そして残りは一人でいることの素晴らしさでできている歌だ。」


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お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015
知的人生設計のすすめ

書誌

author橘玲
publisher幻冬舎
year2014
price1600+tax
isbn978-4-344-02642-1

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2018.12.9読了
2018.12.9公開

著者の本の中で実は最も読んでみたかったのが、本書と『貧乏は金持ち』というマイクロ法人について述べた2冊である。そんなわけで割と期待していたのだが、思ったほど特別なことは書かれていない。零細法人を用いて赤字決算したり経費扱いで節税するというのは、自営業者にとってはそれが普通だからである。源泉徴収で税金を天引きされるサラリーマンの世界しか知らなければ新鮮に映るのかもしれないが、むしろその種のお節介をシステム化して利権にまで高めているのが日本という国であり、世界と大きく異なる点だということこそ、もっと知られるべきだからである。

これは要は「自分で決めなくていい」ということで、車検、終身雇用、補助金、駅の電車の発着音に至るまで――みんなそうである。「自己責任」を喧伝する人たちが、なぜ納税や車の管理といった生活に密着したものを自己責任にしないのか不思議である。しかし、それも当然だ。この種のお節介システムが善意などを大義名分としつつ、天下りとセットにした利権として構築されているので、既得権を持つ人が存在するからである。むろん著者の言う通り、マイクロ法人における個人と法人という税制の歪みも既得権の一種なのはいうまでもない。

そのため、個人的にむしろおもしろかったのは、冒頭で書かれている著者自身について触れた箇所で、そこでの出版不況に伴う書籍刊行点数増加との因果関係の説明だった。これは以前からいわれていることであるが、これほど分かりやすい説明は今まで読んだことがない。やはり身内のことは悪くいえないのか、元関係者による出版社から見た売上金の仮払を通じた説明の方が極めて明快だ。そして、この書籍再販制度もまた、消費増税における軽減税率というかたちで利権化しつつある。もちろん、それが言論的な意味での与党への忖度(間接的な言論統制というお節介)としてセットに働くのは蛇足であろう。

著者が説く経済合理性としての合法の範囲内でのマイクロ法人を用いた〝黄金の羽根〟を拾う手法は正しい。しかし、その歪みに気づくためには、まず「自分で決めなくていい」という日本型システムと個人が決別しなければならない。そしてそれはアベノミクスや異次元金融緩和だけを見ても意味がない。単純に日本以外の世界と比べるだけでいい。というよりもその種のシステムが成り立たなくなりつつある現状では、著者の流儀でいえば既にその先を見据えた判断をするしかないのである。なぜなら、そのときに国家が個人を守ってくれる保証は何もないし、それは既に東日本大震災ではっきりと示されているのだから。

抄録

4-5

また今回の改訂にあたって、海外投資とPTについての章を削除しました。

「日本というリスク」を分散するために個人の資産を広く世界に分散させることはますます重要になってきていますが、それと同時に日本国内の金融ビジネスもグローバル化し、いまでは日本の証券会社や国内のネット証券などを利用して海外の金融市場にアクセスすることが簡単にできるようになりました。ETF(上場型投信)を使った世界株への分散投資についてはほかの本で何度も書いているので、ここで繰り返すまでもないと考えたからです。

『黄金の羽根』の旧版でPTという〝究極の節税法〟を紹介しましたが、その後、消費者金融大手・武富士創業者の長男が、香港に居住地を移したうえで海外資産の贈与を受けるという〝節税〟を行なっていたことが明らかになりました。非居住者の認定をめぐって争われた裁判では、2011年2月、最高裁が生前贈与に対する約1330億円の課税は不当だとして、還付加算金などを含む約2000億円を長男に返還するように命じています。この判決によって、海外居住を利用した合法的節税は富裕層の常識になりました。

しかしその一方で、2007年の世界金融危機以降、タックスヘイヴンやプライベートバンクへの欧米諸国の批判が強まり、税務当局による租税情報の交換で「守秘性」は有名無実となりました。今後はグローバル企業の租税回避に焦点が移っていくでしょうが、「海外の金融機関を使えば簡単に節税できる」という〝幸福な時代〟は終わってしまったことは間違いありません。-/-

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