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もっとさっさとやっておくべきであった。

断片 (このサイトのどこかにあるもの)

勝つことがわかっているなら、戦争をする必要はないんじゃないか??山下清


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そして文明は歩む

書誌

author森本哲郎
publisher新潮文庫
year1990
price440
isbn4-10-107314-7

履歴

editor唯野
?.1.5読了
2018.6.11公開

宗教が扱う主に神の数から文明を分類して論じた本。著者は具体的には世界の文明を「多」の文明、「ゼロ」の文明、「一」の文明、「二」の文明、「三」の文明、「万(よろず)」の6つに分け、日本は最後の「万」の文明であると説いている。また、宗教観が文化にも影響を与えると共に、そういう異なる文明同士の衝突が逆に多様な世界をもたらすものとして、文明の衝突を「争い」ではなく「発展」を促す契機という肯定的な捉え方をしている。

そういう意味では多元的な世界の容認ともいえるが、科学も一神教の一種であるとし、一神教であるがゆえにお互いを認めることができず、だからこそ宗教と長く対立してきたというのは、科学礼讃の現代においては難しい問題が突きつけられているといえなくもない。

個人的には遥か昔に読んだ本らしく、読書ノート化するにあたり再読したところ、全く内容に覚えがない。人間の記憶力などこの程度かと感じる一方で、世代や民族を通じて生き残ってきた宗教の力の強さというものが逆に思い起こされる本であった。ただ、男性・女性原理という辺りは今だと多少陳腐に感じる。「万」の文明が、多元主義として他を包容できる、そういう道筋まで示せるとよかったのではないかという気がする。

抄録

14

だが、もしこのような夕暮の音がなかったら、荘厳な落日の光景は案外つまらぬものになったかもしれない。イスタンブールの入日の素晴らしさは、地上から失われる太陽をよそに、何万という群衆が薄明のなかにうごめき、人間の世界をありのまま橋のたもとに現出させているところにあるからだ。-/-

17

だが、歴史はコンスタンティノポリスに滅亡の判決をくだした。ついでキリスト教にかわってイスラム文明がこの都の主になるように指名した。都を追われた「正教キリスト教」はやがて北方のロシアに安住の地を見出すことになる。-/-

20

「あなたは人間の文明の根(ルーツ)にあるものは何だと考えておられますか ? 人間世界を動かしているもの、ひとつの文明を他の文明へと置きかえるもの、文明のドラマの筋書き(プロット)を書いているもの、それを何だとお思いになりますか ?」

いきなりそのような哲学的な問をつきつけられて、私はいささかうろたえた。私はガラタ橋の夕日のなかで、遠い世の幻影に浸っていたのだが、私の胸中にひろがっていたのは、そうした哲学的な問よりも、はるかに情緒的な感傷にすぎなかったのである。こんどは私が黙る番だった。私はフォークを置いて腕を組み、目を閉じて答えをさがした。さまざまなイメージが浮かんだが、何ひとつ言葉にならなかった。試案のすえ、私はいった。

「きみはそれをどう考えるんです ?」

「神ですよ」と、ムシュタファは、こんどは即座にこたえた。しかし、それきりだった。

22

さて、私は本書で文明の性格をつぎのように六つに分類してみた。

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