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青い犬の目
死をめぐる11の短篇

書誌

authorマルケス
editor井上義一(訳)
publisher福武文庫
year1994
price550
isbn8288-3293-9

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2001.9.12読了
2001.11.12公開
2004.9.28修正

副題にも示されているように、いずれも死というものをどこかに感じさせる作品による短篇集。それが例えば、死んだ人が自らの体の腐敗する様を観察するといった、死後の意識の残照といったかたちで示されている。

一読してみておもしろかったのはオレンジを食べたい気持ちが猫への意識の移入に絡めて綴られる「エバは猫の中に」、表題作であり夢の中で青い犬の目と書く女性の登場する「青い犬の目」、薔薇を育てる女性との過去-現在-未来を扱う「誰かが薔薇を荒らす」だった。これはマルケスにとっては初期に属する作品ということらしいが、いずれも不思議な読後の余韻に浸れる作品が並んでいる。

抄録

118

-/-《そういうことなら、明日また君に気づくだろう。街で壁に「青い犬の目」と書いている女の人を見たら、君だと気づくだろう》と、ぼくは呟いた。彼女は悲しげな微笑を浮かべ??それはすでに、不可能なもの、手の届かないものに身を預けた微笑だったが??ぼくに言った。《でも日中は何ひとつ思い出せないわ》そして、もう一度燭台に手を置き、暗い霧に顔を曇らせた。《あなたは目が覚めると、夢に見たことを何ひとつ憶えていない、ただひとりの男なのよ》

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