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ゲド戦記 III さいはての島へ

書誌

authorル=グウィン
publisher岩波書店
year1977
price1700+tax
isbn4-00-110686-8

履歴

editor唯野
?.9.4読了
2015.1.18.公開
2015.1.19.修正

ゲド戦記の第三巻で、ロークの学院長となったゲドがアレンとともに死の国への冒険をし、アレンがハブナーに久しく不在であった王として戻る??というのがあらすじである。二巻でも触れたように、本書でも真の主人公といえるのはアレンであってゲドではない。円熟を増したゲドは割と本巻では自らいろいろと語っている感もあるが、ゲド自身が述懐するようにゲドがアレンを伴ったのではなく、アレンにゲドが付き添ったのである。

そして、不死を成したクモとの戦いにおいてゲドは魔力を使い果たし魔法使いではなくなってしまう。魔法使いの魔力といえども有限で、それを失えば他の人間と同じになるという辺りが、ゲド戦記らしいというか含蓄に富む部分ではないかと思う。ファンタジーにおいてこうも主人公が何かを失っていくというのも珍しいと思われるが、我々の人生も得るものがあれば失うものもあるのだと考えれば、むしろその方が然るべきだといえなくもない。

それはゲド戦記において超越的存在として登場する竜においても同じである。クモの成した魔力によって言葉を失っていく竜の姿も痛ましいが、それさえもが同列に扱われているという厳しさがあるゆえに、我々は逆にゲドの姿に自身を重ねることができるのではなかろうか。

主要登場人物

アレン(レバンネン)モレド家の子息
ハイタカ(ゲド)ローク(魔法使いの学院のある島)の大賢人(学院長)、船乗りのときはホーク cf.18/21/254
クレムカムレクロークの名付けの長、長は全部で9人 cf.39 (様式の長、名付けの長、守りの長、薬草の長、姿かえの長、風の長、呼び出しの長、詩の長、手わざの長)
カケアレンを案内するロークのまじない師
ソプリローバネリーの染師で元魔法使い、母も魔法使い(アカレン) cf.148/175
オーム・エンバーエレス・アクベを殺した竜、クモと戦うが... cf.214-125/271-274
クモハブナーの魔法使い cf.261/273

抄録

21

-/-大賢人の名を知っているのは世界じゅうにたった六人しかいなかったが、男(守りの長:唯野注)はその六人のうちのひとりだった。他は、ロークの名付けの長と、その昔、ゴント山でゲドにその名を与えたル・アルビの魔法使いの沈黙のオジオン、ゴントの“白き女(ひと)”なる腕輪のテナーと、イフィッシュの田舎に暮らす、カラスノエンドウと呼ばれる魔法使い、それからいまひとり、イフィッシュで、大工に嫁ぎ、すでに三人の娘の母親となった、魔法こそまったく知らないが、他のことでは実に懸命なノコギリソウと呼ばれる夫女だった。いや、このほかに、イフィッシュとは逆の、アースシーの西の果てにいる二匹の竜、オーム・エンバーとカレシンも、また、大賢人の名を知る者の列に加えなければならない。

34

「ええ、詩の長はハブナーの人ですが、そのことに強い関心を示しています。ここ三年は、長は、耳にたこができるほど、その予言をくり返しわれわれに言ってきかせています。マハリオンは言ったそうです。「暗黒の地を生きて通過し、真昼の遠き岸辺に達した者がわたしのあとを継ぐであろう。」と……。」

43

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