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ラ・フォンテーヌの小話(コント)
ラフォンテーヌノコント

書誌

authorラ・フォンテーヌ
editor三野博司, 木谷吉克, 寺田光徳(訳)
publisher教養文庫
year1987
price560
isbn390-11207-4

目次

1感想

履歴

editor唯野
1999.11.30読了
1999.12.1公開
2002.11.28修正

ラ・フォンテーヌといえば一般に『寓話』が有名である。私もこの作品は好きだが、彼は同時にこの『コント』という色恋沙汰を扱った本も書いており、解説によれば『寓話』よりも、こちらの方が先に執筆されたとの由。とはいえ、その内容はというと浮気女や寝取られ亭主といった男女関係の話に僧職の人間が絡むといった、ある意味、定番といえるものが多かった。また、全てが著者のオリジナルかといえば必ずしもそうではなく、各話の終わりの注を見る分には、ボッカチオの『デカメロン』より脚色したものが大部分を占めているようである。

そのため、個人的には少々、ネタ的に古典的かなという感じが強く、おもしろいといえばおもしろいが、絶賛のできるおもしろさ、というわけではなかった。しかしながら、物語の語り手が物語の語る様までを描いていくような作りの部分はうまいなと思う。例えば、冒頭の「ジョコンダ」という小話では、

-/-それに満足していたかどうか、作者の知るところではない。-/- (p.11)

ジョコンダがどのようにして出発することができたのか、またかれがなんと答えたのか、どのように振る舞い、なんと言ったのか、それについて物語はまったく語っていない。だから、わたしもまた、詮索して誤りを犯すよりは、口をつぐむことにしよう。-/- (p.13)

といった表現が随所に現れる。私はこの種のいいまわしをエンデの『はてしない物語』でも接したことがあり、そのときの物語のおもしろさを思い出したかのような感じがした。(そう、それは「・・・なのは、それはまた別の物語。別の場所で語られることもあるだろう。」(ちょっとうろ覚え)といったいい回しなのである。)他にも、「聴罪司祭に化けた亭主」に登場する妻の機転のきかせ振りなどは、物語の後味を軽妙なものにすることに成功しており、こういう辺りには素直に感心させられた次第である。

なお、ラ・フォンテーヌをめぐる挿話といえば、晩年に実の息子と会いながら、それが誰なのか分からなかったという話が有名であるが、そのくらいに放蕩的というか気ままな人生を送ったのも事実だったらしい。そのためかどうかは知らないが、そのパトロンも「フーケ -> オレルアン公夫人 -> ラ・サブリエル夫人」と変遷している。(彼はルイ 14 世時代の人であり、この辺に関しては同じく読書ノートの 『ダルタニャン物語 第 3 部』 を参照されたい。)また、本書自身、刊行当時より、『寓話集』に比べると高い評価を得られないところがあり、(その内容のため)発禁処分とされたこともあったようである。

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