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叢書アンデスの風
燃える平原

書誌

tagラテン
authorフアン・ルルフォ
editor杉原晃(訳)
publisher水声社
year1990
price2,000+tax
isbn89176-240-2

目次

1感想

履歴

editor唯野
2005.1.1読了
2005.1.4公開
2005.10.5修正
2012.1.17タグ追加

ファン・ルルフォという人は生涯において本書と『ペドロ・パラモ』の 2 冊しか残さなかったメキシコの作家(1917-1986)であるが、ラテン文学の中でも重要なひとりとして評価されている。別の場所でも書いたように、私のラテン文学遍歴も元をただせば『ペドロ・パラモ』に行き着くのであり、死者だけの廃墟を舞台になぜか生者が喧騒し始めるという、この時間の交錯する物語は、今もって私の中でもラテン文学の傑作といってよい。

翻って、本書は短編集であり、その内容を見ると悲劇的といえるものが多い。私が最もおもしろかったのは『ペドロ・パラモ』にも通じる部分があると思われる「ルビーナ」、その他では「北の渡し」などだったが、全編を通じておもしろいかといわれるとあまりそうではなかった。

これは、ルルフォ自身が新しい小説を何度か試みながらいみじくもいっているように「またも『ペドロ・パラモ』になってしまったよ」という一言に結局は集約されているように思う。むろん発表年的にいえば本書の方が『ペドロ・パラモ』(1955)よりも 2 年前の著作ということになるが、本書自身が『ペドロ・パラモ』に至る道程だったと考えれば、本書もまた「ペドロ・パラモの亜種」というか、結局はそういういい方がしっくりくるように思う。

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