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ナヴァロンの要塞

書誌

authorアリステア・マクリーン
editor平井イサク(訳)
publisherハヤカワ文庫
year1977
price460
isbnHA-557

履歴

editor唯野
1999.10読了
1999.11.23公開
2002.10.6修正

冒険小説といえばアリステア・マクリーンであり、アリステア・マクリーンといえば本作というくらいに有名な作品。より短い言葉を用いるならば、つまりは名作ということであるが、それだけに内容は古典的でもあり、よい意味でいえば王道をいく、悪い意味でいえば食傷気味ともいえる、そういう作品である。何しろ相手はドイツ軍の難攻不落な要塞。それに精鋭によるゲリラ部隊が挑む??これだけでも「うーん」という感じである。その上、主人公たちはこれでもかとばかりにアクシデントに見舞われ、捕虜にもなればスパイもいると来るならば、これはもう王道的作品としかいいようがないからである。

そのため大味な印象もあるのだが、それをテンポのよいスピード感で補うことにより全体のまとまりが生まれているということになるのだろう。つまりは、それだけ全体の躍動感はさすがという感じであり、秀でたアクション映画のように中盤以降は息をつかせぬ展開となっている。

本来はもっと素直に読んだ方がおもしろいのかもしれないが、どうも最近はこういう作品に接すると、少し斜に構えてしまうところがあって、我ながらもったいことかもしれないなと思う。

主要登場人物

キース・マロリー
 本編の主人公となる大尉
 ニュージーランド人の著名な登山家
ジェイムズ・ジェンセン
 イギリス海軍大佐 在カイロ後方撹乱作戦本部の作戦主任
 今回の作戦をマロリーに依頼する
アンドレア
 以前にマロリーの副官を務めた大男のギリシャ人
 常に沈着冷静に自分の仕事をこなす男
 cf. p101
フケツのミラー
 アメリカ人の砂漠挺身隊伍長 波乱万丈の人生を送ってきた男
 爆薬を扱わせると天才的な工作員で医術にも明るい
アンディー・スティーヴンス
 若いイギリス海軍予備仕官の大尉
 船の航海士かつ一流の登山家でギリシャ語も流暢に操る
 cf. p301
ケイシー・ブラウン
 電信兵曹 船舶特殊部隊のベテランで船の機関士と無線連絡を担当する
ルーキ と パナイス
 ケロス島の住民 マロリーたちに協力する
 cf. p202, 309, 333

抄録

163

「アンドレアもこわかったんだ」大男のギリシャ人の声はあくまでもやさしかった。「アンドレアは今でもこわいんだ。アンドレアはいつもこわがっているんだ。だからこそ、俺はこんなに生きのびられたんだよ」彼はその大きな手に目をおとすと、「そして、多くの人が死んでいったんだ。そういう連中は、俺ほどこわがらなかったんだよ。普通の人ならこわがることを、何一つこわがらなかったんだ。怖れなければならないことを、つねに何か忘れていたんだな。しかし、アンドレアはあらゆることを恐れ、何一つ忘れなかったんだ。まあいってみれば、それだけのことなんだよ」

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