ホーム > 読んだ >

アウトサイダー

書誌

authorコリン・ウィルソン
editor中村保男(訳)
publisher集英社文庫
year1988
price800
isbn4-08-760140-4

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
?読了
2016.12.20.公開

相当昔に読んだ本で、かなりの時間を置いて読書ノートにした本である。いうまでもなく本書はコリン・ウィルソンの名を一躍世に知らしめた一冊であり、アウトサイダーという生き方に対する最終的な答えを示すものではないが、それでも分かりやすい類型化を行なっている。24歳にしてこの本を書いたという辺りで、芥川に近い天才さを感じるが、コリン・ウィルソン自身がアウトサイダー的だからこそ、自我への問いを彼なりの実存主義というかたちで問い詰めた結果としての本なのだと私は考えている。

正直なところ私にいわせてもらうと、現代では誰もがある意味でアウトサイダーというか、そういう側面を持っていて当たり前という感がある。つまりアウトサイダー的側面はマイノリティに見えて実はマジョリティであり、ただそのアウトサイダーとしての内面が個々人によって幅を持つので当人にとってはマイノリティに感じられるというか、それを打ち明けられる相手を持ちにくいゆえのマイノリティ――そういう風に感じている。だから、本書が現在でも読み継がれている理由の一つは、そういうアウトサイダー的葛藤の解決を求める人が本書を求め続けるからであり、当然そういう部分は私自身にもあてはまる。

しかしながら冒頭にも書いたように本書がその答えを提供するのかといえばノーだ。そこがアウトサイダーの悩みの難しいところなのだが、その難しさが分かるだけでも一筋の光明にはなり得る。この本はそういう本なのだと思う。

抄録

12

「アウトサイダー」が社会に対立した存在であることは、以上のことから明瞭である。すべての男女は、このような危険で名状しがたい衝動をもっているにもかかわらず、自分にたいし、他人にたいして偽装をやめない。彼らの尊厳も、哲学も、宗教も、すべてが、野蛮で、無統制で、不合理なものに艶だしを塗って、なんとか文明的、合理的なものに見せかけようとする試みにすぎない。彼自身は、真理を旨とするがゆえに「アウトサイダー」なのだ。

これはバルビュスの物語に登場するアウトサイダーについてを述べた箇所。

14-15 cf.22

-/-ブルジョワの自己満足的な世界認容の態度に歯むかって、「アウトサイダー」が無政府主義的な感情を吐露することがあれば、それは、ただ世間の見栄を思いきり侮蔑してやりたいという気持からだけでなく、どんな犠牲を払っても真理を述べねばならぬ、そうする以外に究極的な秩序の回復は望みえない、というぬきさしならぬ気持から発しているのだ。たとえ前途に望みをかける余地がまったくないとしても、真理は述べられねばならない。-/-

23

ポリー氏(訳注・ウェルズの小説『ポリー氏の経歴』の主人公)の発見した信条「自分の生活が気にいらぬなら、それを変えることができる」から、「出口もなく、回り路もなく、抜け路もない」という絶望にまでいたる距離は、きわめて長い。バルビュスは中途まで行った。道すがら、彼は「真理とはいったい何を言うのか ?」と質問し、その当然の帰結として、「変化によって、どんな違いが生じると言うのか ?」と問うた。ウェルズは全行程を踏破して、「思想は生を否定せねばならぬか」という実存主義的問題の門口にわれわれを導いた。

24-25

全文を読まれる場合はログインしてください


Up