ホーム > 読んだ >

パロマー

書誌

authorカルヴィーノ
editor和田忠彦(訳)
publisher岩波文庫
year2001
price500+tax
isbn0-327094-0

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2005.10.5読了
2005.10.8公開
2005.10.12修正

パロマー氏が生活の各所において見せる世界に対する洞察──を小編の連作として構成した本。極めて形而上学的とも取れる態度を取りつつもパロマー氏は世界と己に対して思索を重ねる。個人的にはこの形而上学的ともいえる展開にもどかしさを感じたが、構成を含めてそれも作者により計算されたものなのだろう。

ときたま、はっとさせられる場面もあり、同時に「自分なら...」と思わずにいられない箇所もあったが、上述のように展開の部分でいまいちだったため、独特とは思いつつも読感としては渋めといった感じだった。

抄録

13

パロマー氏は鬱屈した狂気の世界を活きる神経質な男だから、なんとか自分と外の世界との関係を縮小し、いわゆる神経衰弱症にかからないようにできるだけ自分の感情を抑えようと努める。

27

-/-解体する世界のなかでは、かれが救いたいと願うものがもっとも壊れやすいのだ。-/-

45

-/-分離を埋めるための……だが、何と何との分離なのだろう ? 自然と文化だろうか ? 沈黙と言葉 ? 言語で表現しうる以上の何かを沈黙がはらんでいればいいのに、とパロマー氏はいつも思う。いったい言語表現は、存在するものすべてが目指す到達点なのだろうか ? それとも、有史以来、存在するものすべてが言語表現だったのだろうか ? -/-

70

星の神話の知識といっても、かれには薄れかかったかすかな光がほのみえるだけだ。科学的知識は新聞や雑誌からのありふれた受け売りでしかない。自分が知っていることは信じられないし、知らないことは心を不安にする。打ちのめされて自信が持てないまま、乗り継ぎの便を探して時刻表の頁を繰ってでもいるかのように、いらいらと星座表に視線を走らせる。

102

それとも、問題なのはもしかしたら、自分のチーズを選ぶことではなくて、選ばれることなのかもしれない。チーズと客とのあいだにはなにか持ちつもたれつの関係があるのだ。チーズは一つひとつが自分の客を待っていて、かれの気を惹こうと澄ましてみたり、ちょっとお高くとまってつんけんしてみせたりする。それか反対に、おとなしく諦めて観念してみせたりもする。

全文を読まれる場合はログインしてください


Up