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小さな家

書誌

authorル・コルビュジエ
editor森田一敏(訳)
publisher集文社
year1980
price1236
isbn4-7851-0110-5

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2015.10.20読了
2015.10.20公開
2017.03.25修正
2017.05.02修正

20世紀の代表的建築家の一人であるコルビュジエが1923年、自身の両親のためにスイス・レマン湖のほとりに建てたのが、この「小さな家」である。非常に有名な建物であり、本書はその建築家自身による住宅のコンセプトなどを解説したブックレットといってよい「小さな本」となっている。意外なのは建築家向けの詳細図面などは一切なく、むしろモノクロ写真、デッサン画が多いことだ。また、訳者の解説にもあるように、本書はこの家が建てられてから30年の時を経て出版された点も、ひとつの特徴と思われる。つまり、建てられた後の変化についても述べられている。

戦後初期の日本における有名な小住宅に建築家の自邸が見られるように、この家も親族のための家という意味では自邸に近いものがある。私は自分がそうでない以上、建築家にとっての自邸というものの位置付けまでは分かりかねるが、自身が施主なのでやりたいことを気兼ねなく突き詰めてやれる??という意味では、その建築家のエッセンスが出やすい建物になるのではないか、とは思う。

# カラーの情報が欲しい方には『CONFORT No26 (1996 Autumn)』に中村好文氏の記事がある。というより、この有名建築家の建物を訪れる連載をまとめたのが『住宅巡礼』という本である。

抄録

5

-/-敷地に先立った設計ですって ? そう、その通り。この家に適した敷地を見つける計画だったのだ。

5

計画の諸条件。その第1の条件は、太陽が南にあること(ありがたいことだ)。さらに山並みを背景に、湖が南に向かって広がっていること。また、東から西にかけて見渡せば、湖とそこに映えるアルプスの山々が君臨していること。こうした条件はこの家の設計方針を決定している。つまり奥行きは4mしかないが、南に面して長さ16mの正面をもつ家が横たわっている。その正面にあるただひとつの窓は、11mもの長さがある(私は“ひとつ”の窓と言ったのだ)。

第2の条件。それは“住む機械(ラ・マシン・ア・アビテ)”であること。つまり最小限の実用性が得られるように、適切な寸法をもつ簡明な機能に分かつこと。さらに空間が有効に活用できるように、それらを効果的に組織すること。各機能には許される限りで最小の面積を充てること。その結果、床面積は合計54?uになった。最終案では、この家は平屋建てで、あらゆる通路を含めて延べ床面積60?uにおさまった。

6

主な間取り。

p.6

22 cf.27

ここに見られる囲い壁の存在理由は、北から東にかけて、さらに部分的に南から西にかけて視界を閉ざすためである。四方八方に蔓延する景色というものは圧倒的で、焦点をかき、長い間にはかえって退屈なものになってしまう。

この、あえて景色をさえぎるという考え方はおもしろいなと思う。

24

-/-壁に囲まれた1辺10mほどの、このごく小さな庭は室内空間に匹敵し、もうひとつの緑あふれる庭となる。

これは今日の都市部でプライバシーのある庭を作ろうとすると、よく見られる方法になっている。

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