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泥鰌庵閑話 (全2冊)

書誌

author滝田ゆう
publisherちくま文庫
year1995
price各\850
isbn480-03076-X (上)

目次

1感想

履歴

editor唯野
2001.3.12読了
2001.3.13公開
2002.11.28修正

書名は「どぜうあんつれづればなし」と読む。「どぜう」は「どじょう」のこと。滝田ゆうは非常に独特な線を持った庶民性のある絵を描く人で、個人的にも好きな漫画家である。(雰囲気的に近いといえるのは初期の『じゃりン子チエ』という辺りだろうか。)漫画には擬音のうまい人というのがいるが、この人もその一人で、トタンの屋根を踏む猫が「ベッコン、ベッコン」であり、踏切は「ケーン、ケーン」という辺り、実に風情がある。また吹き出しの中がちょっとした何かの絵になっていたりとか、よく見ると発見の多い漫画という感じがする。

内容的にはほとんどがお酒がらみでとにかく著者を主人公にした各所の行脚という色合いが強い。だからといって中身が特別なドラマ仕立てというわけではなく、むしろドラマを期待して裏切られるというような筋書きが多い。(もちろん、この作品の場合にはそれが正しいのだが。)ほかでは下駄をめぐる話などで印象的だった。こういうのを読むと、日本人の感情の機微という辺りを非常にうまく描いた貴重な人だということがよく分かる。全 2 冊で 900 ページ近くもあるので、量的にもかなりあるが、それこそお酒でも傍らにして読むのがよいかもしれない。

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