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越境者的ニッポン

書誌

author森巣博
publisher講談社現代新書
year2009
price720+tax
isbn978-4-06-287987-3

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2018.1.30読了
2018.2.5公開

著者がこれまでにノベルっぽかったり、エッセイっぽかったりという著作で主張してきたことを、新書というかたちで主張の部分をもっと前面に出して一冊にまとめたような本。民主主義とそれに伴う様々な話題――君が代、ナショナリズム、ドラッグ、戦争、憲法、パチンコまで――を幅広く扱っている。どことなく殿山泰司な感じも見受けられるが、彼がギャンブラーだったらこうなるのかもしれない。

著者自身も述べているように、この人の独創的に見えるものの見方は別に特別なことではない。単に同じことが日本と世界ではまるで異なって報じられているため、その差異がそのままチューサン階級の素朴な疑問として発せられている側面が強い。本書でも触れられている通りだが、良くも悪くも「日本語」という壁によって、同じことでも世界とはまるで別物のように報じられる(または報じられない)、言葉が意図的に置き換えられる、といったことが確かに昨今では多いように感じられる。

例えば私には「日米同盟」という言葉が意味不明だ。日本とアメリカの間にあるのはあくまでも安全保障条約(security treaty)であり、これは冷戦下での安全保障体制のものであって、どう考えても「同盟(alliance)」ではない。これは安保条約を英訳してみればすぐ分かるし、逆に「日米同盟」がいつ締結されたのか知りたいものである。

閑話休題(それはともかくとして)、全般的に書かれていることは、それ以前の著作と基本的に同じなので、それらを手っ取り早く整理したい、著者の主張を一冊でまとめて知りたい、という方に特に勧められる本だと思う。もちろん読んで痛快なのはいうまでもない。

抄録

3

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どうやら博奕打ちとは、博奕を打ってはいけないらしい。ダンベイ(旦那衆)に博奕を打たせ、そこから上がるカスリ(控除あるいはコミッション)でシノギをするのが、正当の博徒のようだ。-/-

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4

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二十一歳の時に、後楽園競輪で、原資(もとで)は一万円だったのに三百万円強をぶち当てた。8R(レース)で的中したものを、そっくりそのまま9Rに突っ込み、9Rで的中したものを、そっくりそのまま10Rに突っ込む、というなんとも乱暴な戦法での三連勝だった。もちろんすべて一点買いである。この戦法にはちゃんと名前がついていて、これを「達磨返し」と呼ぶ。なんでそう呼ばれるのかは、知らない。

新卒の月給が二万円くらいの時代だ。三百万といえば大金である。勝負師を自称する者ならその金を原資とし、また勝負するのだろうが、わたしはそういうアホな真似をしなかった。なぜか ? 勝負師を自称する者たちは、みんなそうやって潰れていくのを観察してきたからだった。欲望は、その属性として、欲望を欲望するのである。だから、潰れる。

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5

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それからしばらく経って、そのお金を懐にアメリカに渡った。海外旅行がまだ珍しかった時代だ。-/-

じつはそれから四十年近く、わたしはほとんど日本に住んでいない。

わたしの「生業」は、博奕である。博奕を打ちながら、生き永らえてきた。日本では法律で、ゲーム賭博が禁止されている。だから、合法的なシノギができない。-/-

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6

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