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外伝・麻雀放浪記

書誌

author阿佐田哲也
publisher双葉文庫
year1991
price470
isbn575-50336-3

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2001.4.14読了
2001.4.16公開
2001.4.23修正

大衆小説の金字塔である『麻雀放浪記』の外伝。とにかく『麻雀放浪記』は抜群におもしろい本なので、未読だという方は、騙されたと思ってもよいから読んでいただきたい。全 4 冊あるが、1 冊目だけでよい。出目徳という男の死で終わる 1 冊目は博徒ならではの非条理さと仁義の双方を書き切った文字通り名作だからである。どのくらいおもしろいかというと、当時、麻雀なんてものを全く知らなかった私が夢中になってしまったほどにおもしろい。考えてみれば、ゲームをやったことのない者が読んで楽しめるというのは、なかなか稀有のことではなかろうか。

そんなわけで本書は、その名作のサイドストーリー的な短編を集めた本である。しかし、大部分を占めるのは年を取り雀力の衰えを感じざるを得なくなったという著者を主人公にしたものだ。いわゆる正編のようなイカサマが当り前で見抜けない方が悪いなどという活劇的な世界ではない。しかし、ちゃんとドサ健も登場するし、坊や哲(阿佐田哲也のこと)も現れる。むしろギャンブラーならではの過去のつながりを軸にしたファンのための由緒正しき異本というべきであろう。

ついでにいうと、こういう本を読んで、どこまでが真実でどこからが嘘(フィクション)かというのを考えてみるのも一興である。自らギャンブラーを以て任じる方であれば、試されたと思って読んでみるのもよい。虚実の駆け引きは作中のトリックだけでなく、作品そのものでもいえることだからである。そんなわけで私自身のギャンブル観にも少なくない影響を与えている阿佐田哲也の本だが、ここではその寸言らしきものを引用してみようと思う。果たして、それはあなたにとってみて正か邪のいずれに映るであろうか。

# そういえば『マガジン』で阿佐田哲也を主人公にした漫画をやってるみたいですね

抄録

23

「その様子じゃ俺たちの三倍は稼ぐだろう。うらやましいな」

「そんなこというのはお前だけだよ。生き物の血をしぼりとってるんだ。寝ざめがよくねえや」

「なんだって同じだよ。それ以外にどんな形があるんだ。こう人間が多くちゃ、人からしぼりとる以外に生きる方法はねえや」(cf.44)

64

-/-博打に天才なんぞ居ねえよ。そう見えるほど仕かけがきついンだ。-/-

68

「お前は強いよ??」と健は大声でいった。「麻雀は強い奴と巧い奴とが居るが、強い奴が一番強いんだ。わかるか??」

82

「博打は非合法だからね。皆、無頼漢のつもりでいたな。俗世間の掟や道徳は、すくなくともその場では通用しない。勝負の鬼さ。いいかえれば選ばれた人間だ。だからどこの馬の骨で、商売がなんだなんてことは意味がない。肥ってれば、ブク。宿なしのフーテンなら、テンさん。農村出らしければ、タンボ。それでいいンだからね。博打場で、本名で呼ばれているようなのは、カモの旦那か、まだ一本に見られていない半人足だ。あの頃はそうだったな」

97

彼は昔の彼ならず、そう思われては仕事がやりにくい。麻雀に限らず、勝負事は威勢が六割方、勝負を決するのである。手牌の威力はあがったあとでないとわからない。あがる前に、手牌の力以上のイメージを与えることで相手の自由をコロす。極言すれば、実際に争うのはイメージとイメージで、上がり手はその結果にすぎないのである。

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