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住宅が危ない!シリーズ3
「外断熱」が危ない!

書誌

author西方里見
publisherエクスナレッジ
year2002
price1500+tax
isbn4-7678-0255-5

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2008.1.21読了
2015.7.2公開
2015.7.15画像追加
2015.8.5修正

著者は『建築知識』などでも見かける人で自身のサイトにも断熱についての記述があり、特に断熱に関しては我が国を代表する設計士・識者の一人だと思う。ただ、刺激的なタイトルではあるが、本書がいわんとしていることは冒頭にもあるように、

外断熱は新しいものではなく、昔からある断熱工法です。そして、あくまで断熱技術の一つであり、絶対的なものではありません。正しく適用すれば効果を発揮しますが、当然弱点や欠点ももち合わせています。したがって、外断熱がすべてを解決してくれるような言説がまかり通る現在の「外断熱ブーム」は、大変に問題が多いのです。

ということであって、外断熱そのものが悪いという趣旨ではない。昨今の住宅では外壁も大壁でサイディングでの仕上が一般的であり、内断熱に比べると施工しやすさとコストから外断熱が専ら用いられているのだと思う。また、現在では特にどちらが優れているというものでもなく、きちんと施工されさえすれば、どちらでも必要な断熱効果は得られるので、要は適材適所というのが一般的な認識であると思う。

むろん、一昔前には内断熱と外断熱の優劣をめぐる論争があったため、その意味で本書は特に前半が『史上最大のミステーク』『「いい家」が欲しい。』という内断熱批判本への反論の意図が強い。せっかく断熱に関する包括的な話題を扱っているのにもかかわらず、もったいない感じである。しかし、扱う内容は幅広いので、新刊(『最高の断熱・エコ住宅をつくる方法』)も出ているものの、基本的に書かれていることは同じなので、安価に断熱の基礎知識を得たいのであれば今でも本書を通読する価値はあると思う。

抄録

9

断熱の研究者からは、コンクリートの吸放湿作用や、水分の通りにくさを示す「透湿抵抗」が高い断熱材の使用、「熱橋」(断熱材の施工されていない個所で、熱の伝わりやすい部分)への断熱補強などの要素を入れた、現実に近い非定常計算を行えば、内断熱でもコンクリートの含水率が多少高まる程度である、と報告されています。すなわち「内断熱 = 結露」ではないのです。

11 cf.94

日本建築学会による断熱工法の定義では、マンション・ビルに代表されるRC造など、熱容量の大きな躯体の外側に断熱材を施工する方法を「外断熱工法」、躯体の内側に施工する方法を「内断熱工法」としています。

一方、木造住宅のように熱容量の小さな躯体の場合は、構造部材間に断熱材を施工するものを「充填断熱工法」、躯体の外側に断熱材を施工する方法を「外張り断熱工法」と呼んでいます。このように呼び名が区別されているのは、RC造の外断熱工法・内断熱工法とは効能が大きく異なるためです。

また、充填断熱と外張り断熱の双方を用いる場合を「付加断熱工法」と呼ぶ。

18

これを果たすには、外断熱や充填断熱などの工法の違いで優劣を量るのではなく、結露がなく、断熱性能や費用対効果がよりよいほうが優れている、と考えなければなりません。つまり、断熱性能は工法ではなく、適切な理論と施工精度で判断すべきなのです。特に、建物の熱が逃げる度合いを表す「Q値(熱損失係数)」と、住宅の隙間風の度合いを表す「C値(相当隙間面積)」は、断熱性能を測る共通の指標として重要視すべきです。

21

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