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楽毅 (全4冊)

書誌

author宮城谷昌光
publisher新潮文庫
year2002
price各\590程度+tax
isbn10-144427-7 (1巻)

目次

1感想

履歴

editor唯野
2002.8.10読了
2002.9.9公開
2002.9.11修正

歴史解釈などという難解な理屈を外へ放り出して、単純に歴史小説として十分に楽しめた。

読書前は、中国の「戦国時代」という日本ではマイナーな時代のため、取り付きにくいのではないか、と感じたがそのようなことは杞憂であった。

時代設定、登場人物など、少し玄人向けの傾向はあるものの、現代の日本で、なじみのない故事や人物などが出展すると文中で簡単な解説も記述されており、「中国物」初心者でも十分楽しめる作品であると思う。

「楽毅」でまず頭をよぎるのは、「三国志」の「諸葛亮」である。「諸葛亮」は自分をいにしえの「楽毅」「管仲」に匹敵するとうそぶくシーンを思い浮かべる。その楽毅が、どのような活躍をしたのか。

前半(1?3巻)は、楽毅の「中山国」での活躍を描き、楽毅の比類ない知略と人格の高さの持ち主であることを読者の胸へ植え付ける。

楽毅が「中山国」の将軍として「胡服騎射」で有名な「趙国」の「武霊王」と、政治と戦争という問答無用の世界の舞台を、表に、裏に、袖に、激しい知略と武略のせめぎ合いを繰り返す。

「斉国」の宰相、「孟嘗君」と楽毅が裏で盟約を結ぶシーンも印象的だ。

後半(4巻)、奮戦空しく「中山国」は滅亡してしまう。楽毅は逃亡し、「まずは隗よりはじめよ」の故事成語で有名なの「燕国」の重臣「隗」の知己を足がかりに「燕国」の「昭王」に仕え、そして・・・・。

著者の「楽毅」は、勝つために手段を選ばないタイプの人物ではなく物事に筋を通した上で、自分の与えられた境遇で最大限の努力をするタイプの人物に描かれている。

このあたり、読み手は楽毅を”知らず、知らず”応援してしまう。この”知らず、知らず”が著者の筆の妙かもしれない。

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