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言志四録 (全4冊)

書誌

author佐藤一斎
editor川上正光(全訳注)
publisher講談社学術文庫
year1978 (1巻)
price840
isbn4-06-158274-4

履歴

editor唯野
2007.12.1読了
2012.12.5公開
2013.6.8修正

西郷隆盛らが好んだという『言志四録』であるが、これは総称で実際は『言志録』『言志後録』『言志晩録』『言志耋(てつ)録』の四部より成る。彼の門下から維新の人材に到る系譜については抄録の最初にある通りだが、確かにそれなりの金言が並んでいると思う。

箴言も「以て自らを戒める」というような箇所があったりして、偉ぶったところがなく、その種のてらいがない。訳者も似た言葉も列記するなど単なる注釈以上に筆を振るっているが、これはこれで読み応えがあった。(但し、今日的な観点に立って易経に関しては積極的な解説を避けている。)

割と大部ではあるが、近世日本の書としては十分一読に値すると思う。

抄録(言志録)

14

一斎先生の門に学びし人々は数千人を数えるが、その中でも有名な人物は、例えば佐久間象山、安積艮斎(あさかごんさい)、大橋訥庵(おおはしとつあん)、横井小楠(よこいしょうなん)、中村正直(なかむらまさなお)などである。特にこのうち、幕末日本の先覚者といわれる象山の門から勝海舟、坂本竜馬、吉田松陰、小林虎三郎などの志士が輩出したことは有名である。

また、この松陰の門下からは高杉晋作、久坂玄瑞(くさかげんずい)、木戸孝允、伊藤博文、山形有朋などが輩出して、かがやかしい明治維新を形成することになる。

16

もう一つ特記すべきことは、維新の偉傑である西郷南洲が、この「言志四録」を愛誦し、その中から、会心の百一条を抄録して、金科玉条とし座右の箴(いましめ)としていたことである。

採録先の一覧が同ページにある。詳細は『西郷南洲遺訓』を参照されたし。

18

そこである和尚はいう。『仏教では本当は長寿でボケないことが一番大切な修行のしるしなのだ』と。

長寿の秘密は何か。般若心経にいう「心に??冷G(けいげ)なければ恐怖あること無し」と。ここが私には長寿への一里塚と思われる。

とにかく、儒者であれ、仏者であれ、自分の「心のしまつ」がつけば長寿疑いなしということではなかろうか。

26

付記より。

これが仏教の業因説(ごういんせつ)で、今日あるのは過去の自分の所業によるところ、すなわち、自業自得であるし、今後をよくするのもまた自業自得であると考えるのである。もう少しひらたくいうと、「過去の自分が現在の自分をつくり、現在の自分が将来の自分をつくる」ということである。この業因説は処世道徳に深甚の意味をもつものと信ずる。

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