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新・放浪記 1
旅へ

書誌

author野田知佑
publisher文春文庫
year1999
price600+tax
isbn16-726910-4

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2000.5.7読了
2000.5.24公開
2000.6.4修正

野田知佑の自伝的エッセイ。いわゆる「自分探し」的な側面の強い内容となっていて、著者の若かりし頃の「必ずしも輝かしくもない」青春の日々が描写されている。青年が自分に自信を持つことができず、放浪なり外国への旅を通じて何かを探そうとする??その自分のふがいなさに対する怒りの書といってもよいのかもしれない。自分の境遇にも近いところがあったので、とても共感して読むことのできた一冊だった。考えてみれば、著者のここまで自分の内面を扱った本というのは初めてのような気がする。それだけ、著者にも自分を顧みて...という心の中での整理というかふんぎりがあったのだろう。まあ、そういう辺りばかりは本人にしか分かりようのないところなのであるが、変な青春賛歌ではない、むしろそのネガティブな部分を情に訴えるでもなく描写した本書は、明るさや楽観論だけを扱い、青年の心の内を現象としてだけ捉える風潮に真っ向から挑んだ一作ともいえるように思う。(それだけに日本の伝統的な私小説風ともいえるのかもしれませんが。)

抄録

9

中年になった現在、自分の若い頃を振り返り「放浪」とか「青春彷徨」などといった美しい言葉をあてはめて、うっとりすることもできるが、あれほど無力で、暗く、惨めな時期はなかろう。

23-24

その頃一番ぼくを悩ませていたのは母である。彼女は度々手紙を寄越し、早く就職しろ、ぼくの同級の A も B も C もみんな就職し、結婚して安定した生活を送っている。あなたはどうして彼等と同じように *ちゃんとした* 人生を送らないのか、と責めた。

-/-就職するのは簡単なことだ、結婚して子供をゴロゴロ作り、「安定した家庭生活」を営むのはもっと簡単だ、と思っていた。ただ、その前にやることがある。何かよく判らないが、この胸中にあるモヤモヤをすっきりさせてからだ。その決着をつける前に会社勤めをして、「人生に食われる」のは何としても厭であった。ぼくの周辺に現われる大人たちは大ていぼくの顔を見ると「早く就職してマジメになれ」と説教した。馬鹿メ、とぼくは心から彼等を軽蔑した。マジメに生きたいと思っているから就職しないで頑張っているのではないか。不マジメならいい加減に妥協してとっくにそのあたりの会社に就職している。第一、マジメになれ、といっているその大人たちを見ると、どうしてもマジメに生きているとは思えなかった。何一つ選択しないで、ただ流されて生きているだけではないか。あんな意思的なもののない人生なんてまっぴらだ、そう思っていた。

27/32

著者が京都にいた頃の話。何と御陵(みささぎ)にいたという。私の学生時代の生活圏の隣ではないか ! そして、京都でそのアウトドアライフに目覚めたという。週に一度は江若鉄道(今の湖西線)で湖北まで行っていたという。

30

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