ホーム > 読んだ >

イバラード物語

書誌

author井上直久
publisher青心社
year1985
price980
isbn854026-Y

目次

1感想

履歴

editor唯野
1997.3読了
2000.7.30公開
2002.11.28修正

p.64イバラードの世界というのはアニメ化された「耳をすませば」の幻想空間として登場して有名になった空想世界のことです。(まあ、私もアニメにかこつけて初めて知った人間ではありますが...)これが著者の住む大阪・枚方をモチーフとしていることはつとに有名ですが、本書の刊年を見ても分かるように、著者がイバラードという世界を育ててきた年月は決して短いものではありません。まあ、それだけにシンセ石(シンセスタ)とか、ソルマ、ラピュタなど、名前だけでもおもしろそうな世界が読者を待っています。

人間の空想力を絵なり何なりとして視覚的にするというのはとても難しいことだと私は思うのですが、この作品などはそういうことに成功しているひとつの例だと思います。イバラードがすごいのは、ちゃんと地図とかものの名前が用意されていて、おまけにそのネーミングがいいというところです。こういう辺りは『指輪物語』などでもそうですが、ファンタジーにとってのひとつの方向性といってよいように感じます。しかし、ファンタジーが本当におもしろいのは、逆に世界の構築を読者に任せてしまうというか提示しない物語もあるところで、エンデなどはそういう傾向が強いと思います。(彼が『はてしない物語』の映画化(ネバーエンディング・ストーリー)に強く反対したのは有名です。)ちなみに、私はイバラードの世界を CD-ROM 版でも持っていますが、これもできがよいのでおすすめです。「パソコンと CD-ROM というメディアを使うとこういう世界が実現できるんだ」ということで、少し大げさにいえば、いわゆるカルチャー・ショックを受けた作品でもありました。そんなわけで、意外と思い入れのある本です。

Up