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異端の肖像

書誌

author澁澤龍彦
publisher河出文庫
year1983
price360
isbn4-309-40052-3

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
?読了
2013.5.10公開

著者の本もまだまだ未読のものが多いのだが、気長に順々と読みたいものだと思う。この本は主に貴人の奇人に焦点を当てた本で、フィクションでなく実在の人として、こんな人がいたのだという意味では興味深いものになっている。まあ、澁澤氏の本を読んでいると、ほとんどフィクションとの区別がつかなくなるのかもしれないが...

抄録

10

-/-端的にいえば、ルドヴィヒ二世は芸術家としても贋物であり、王すなわち権力者としても贋物であった。そしてそのかわり、一つの時代の予感する狂気にすすんで身をまかせた。まさにこの点に、この王に対するわたしの関心のすべてがかかっているのである。-/-

14

-/-ツヴァイクによれば、「ニーチェの悲劇は、いわば独演のドラマである。その生涯の短い舞台には、彼自身をのぞいて、ほかにひとりの登場人物もあらわれない。」-/-

16

-/-ルドヴィヒ二世の建てた三つの城(リンダーホフ、ノイシュヴァンシュタイン、ヘレンキームゼー:唯野注)は、人間の住居ではないのである。それは幻想家のための一種の別荘としか言いようがあるまい。彼自身、ここに住んだ期間はきわめて短い。-/-

18-19

かくしてルドヴィヒ二世の城は、単に一つの夢の実現であるのみならず、一人の囚人のオブセッションともなるのである。なぜかというに、王は夢の世界にのがれたが、夢はそのまま大理石とブロンズと水晶と絹の現実になり、この人工の現実(=城:唯野注)にとらえられて、ふたたび王は苦しまねばならないからだ。どんな夢でも長びけば牢獄になる。

29

童貞王の渾名は、ここ(馬丁ホルニヒとの関係を指す:唯野注)から生ずる。女を前にしたルドヴィヒは、あたかもブルンヒルデを見たジークフリートのように恐怖し、不安に襲われる。-/-

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