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東山魁夷の世界
-遍歴と祈りの旅-

書誌

author桑原住雄
publisher講談社文庫
year1981
price480
isbn383349-Y

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2000.9.?読了
2000.10.7公開
2000.12.24修正

全集(S53-55)の月報をまとめて文庫化したという珍しい本。全集のおまけを独立した本にするなど私も初耳で、逆にいえばそれだけ東山魁夷の絵が人口に膾炙しているということにもなるのだろうが、びっくりである。内容的には一種の伝記であり小伝といってよいだろう。生い立ちから唐招提寺の絵を描くまでが一通り扱われている。まあ、文体的に巨匠扱いしすぎでないかと思われる箇所もあるが、簡単に読む分には手頃な長さだと思う。とはいえ、単純に絵を楽しむのであれば新潮文庫の 6 冊組の方がいい。私もこの人のドイツ・北欧の絵はとても好きだ。

抄録

29

-/-ここで、もうひとつはっきりさせておかなければならないのは、神と仏とを私たちはあまりにも擬人化して考える癖がついているということです。神と言い、仏と言うとき、イメージとして浮んでくる神像や仏像の容姿を打ち消すのにひと苦労することが、しばしばあります。これは人間に似せて神や仏を形作ったことへの罰なのかも知れず、神の像を作ることのなかったイスラムの人々の知恵を、ここで思い知らされるわけです。-/-

38

東京美術学校の初年(T15)の夏に、初めて木曽御岳に登り啓発を受けた箇所。これは結構、有名なお話。これに続く開眼が S20 に熊本に兵隊として配属されたときの風景となる。

39

魁夷という雅号は姓の東山がおとなしい感じだったので力強いものにしたのだという。

43-44

魁夷が風景画家としてのアイデンティティを獲得するのは 40 歳のときの「残照」によってである。それまでの方向性がひとつにまとめられた記念碑的作品となっている。

73/85/91/119

日本画によるヨーロッパの風景という新境地。北欧の旅の後で京都、そして唐招提寺の絵画へとテーマを変えていく。そういった中で人間のいない都市の姿、仏教色のない唐招提寺の画像といったアプローチが取られていくことになる。

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