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中国怪奇物語
神仙編

書誌

author駒田信二
publisher講談社文庫
year1982
price360
isbn6-131774-1

目次

1感想

履歴

editor唯野
1999.9.0x読了
1999.9.6公開
2002.11.28修正

駒田信二によって記された中国の物語は、その独特の切れのよい文章のおかげで、とにかく読みやすいのが大きな特徴である。そして、本書ではひとつひとつの物語も短いので、本を読むのにも余計な力を入れる必要がない。つまりは、中国的な合理性に基づく文体が氏の訳文には非常にうまく反映されているということなのだと思う。

そして、本書はそんな著者の手による中国怪奇譚のアンソロジーである。桃源郷(p.27)や邯鄲の夢の枕(p.35)など著名な話も多く収められており、物語を身近に感じられる部分も多い。三国志関係だけでも左慈(p.10)や糜竺が登場している。やはり、この物語の幅の広さは中国の歴史の長さとも強い関係があるように思う。

なぜなら、我々はよく中国四千年という言葉を使うけれども、それは当然ながら単純な時間の長さというだけではなくて、その年月において繰り広げられたであろう人間の生き様の幅の広さ/奥行きの深さとしても、それは表されるように思うからだ。そして、それを我々は残された書物から知る...というわけである。

物語としては、芥川の作品でも著名な「杜子春」の原作(p.149)が、その芥川版との対比において興味深かった。これは図らずも、著者が後書きにおいて意図的に狙ったことでもあったようだが、突き放したような終わり方を見せる原作のあっけなさは意表を突かれたと同時に中国のひとつの側面を見せられたようにも思う。四大奇書ばかりが奇書ではないと改めて感じた次第である。

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