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中国怪奇物語
妖怪編

書誌

author駒田信二
publisher講談社文庫
year1983
price320
isbn6-131775-X

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2001.2.25読了
2001.3.7公開
2001.3.18修正

既に読書ノートでも神仙編を取り上げている中国の不思議な物語を集めたアンソロジーの一冊。(後は幽霊編がある。)出典を見てみると『柳斎志異』や『捜神記』などが割と多い。しかし、『柳斎志異』などは苦労して手に入れて読んだ本のはずなのに、ちっとも内容に見覚えのない話ばかりで参ってしまう。(おまけに、こういう本に限って手に入れて少し経つと復刻されたりする。むろん、古本屋もその辺は心得た上で在庫を出してくるのだろうが... ちなみに『柳斎志異』は岩波文庫で読める。このジャンルでの白眉だろう。)

それはさておき、一読して割と印象に残ったのは菊の精を扱った「黄英」、タイトルからも想像が付きそうな「酒虫(しゅちゅう)」、私は手塚治虫の『ブラック・ジャック』で知った「人面瘡」、男の身勝手を戒める「驢馬に乗った女」などだった。もちろん諸星大二郎の漫画に登場する元ネタだと分かる「鬼弾」なども収められている。著者はあとがきの中で「中国ではもののけの類が異形の化物というよりは、人間、それもしばしば絶世の美女として現れたりする」傾向のあることを指摘しているが、いわれてみれば確かにそうだと思う。人間の姿をして現れるばかりか、結婚までしてしまう話も少なくない。また、幽霊などの実在を信じていた時代の人々にとって見れば、怪異とそれ以外のことを記述する間に特別な敷居があったわけではなく、いずれも実在するものであり、真妄の区別はなかったのだというのもうなずけることだった。

抄録

133

「他人の妻だとふざけ、自分の妻だと怒るのね」

といった。見ればそれは妻ではなく、もう別人の姿に変っていた。茫然としている某に、女は鞭をつきつけていいつづけた。

「聖賢の書物を読んでいながら、なにもわかっていないのね。書物を読むのは試験に合格するためだけで、することはあさましいことばかり。少しは恥を知りなさい」

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