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[新訂] 経営の行動指針

書誌

author土光敏夫
editor本郷孝信(編)
publisher産業能率大学出版部
year1996
price1600+tax
isbn978-4-382-05337-3

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2018.1.28読了
2018.1.28公開

IHI社長、東芝社長を経て経団連会長となった著者が東芝社長時代に発した言葉を中心にまとめた本。昭和の名経営者として著名な人であるが、本書はふたつの点で非常に興味深いといってよいと思う。その一つは、言うまでもなく本書の内容が非常に優れており今日でも色褪せていない点。そして、もう一つは、これほどの経営者をトップに得た東芝という会社が、わずか15年ほどで粉飾決算するに至ったという教訓によってである。

度重なる決算の延期をしながら上場廃止を免れた時点で私は「日本の落日はもはや避けようがないのだな」と確信したが、この頃の東芝で悪評に晒された「チャレンジ」という言葉も、恐らくそうだろうとは思っていたが、この土光氏の発言にその端緒がある。例えば、p151では以下のような記述がある。

経営の現実には常にカケの要素がある。そんな場合、あえて前身行動をとらせるものは、勇気のほかにはない。したがってわれわれはいつでも、かなり無理と思われる目標に敢然と立ち向かい、これを乗りこえる覚悟をもって行動しなければならない。

この言葉自体は全く正しい。しかしながら、言葉が独り歩きして無理なチャレンジがつじつま合わせのための粉飾決算を招いたとすれば本末転倒である。いかに経営というものが難しいものであるか、それを本書は逆に教えてくれている。そして自浄作用のなさを露呈した日本という国は、国自体が粉飾されていくのだろう。

抄録

2

1 すべてにバイタリティを

活力 = 知力 x 行動力(意力 + 体力 + 速力)

6-7

幹部がえらい人であるゆえんは、一にかかって、上に立つほどより大きく重い責任を負う人であるからだ。幹部は権限もあるが、これは振り回さないほうがよい。できるだけ委譲するほうがよい。そうすると残るのは、責任ばかりだ。

8

創造的な企業は、必ずビジョンを持っている。企業が社会に存続する意味を将来に向かって明示するのが、ビジョンである。従業員はそのビジョンを感得することによって、自分がその集団に所属する意味を見いだす。ここから、生きがいといった情念が生まれてくる。

10

自分のビジョンや目標といったものをもたない人は、考え方が現状維持的になり、行動が保守的になりがちである。自分のビジョンや目標をもつ人は、それをなんとか達成しようとする意思が働き、前向きの考え方をするようになるし、それを座標軸として個々の行動を決めようとする。

16

ある雑誌社から「期待される社員像」を求められた。渡しは次の時代を担う社員の特性として、①頭脳を酷使する人、②先を見て仕事のできる人、③システムで仕事のできる人、④仕事のスピードを重んずる人、⑤仕事と生活を両立させうる人――をあげておいた。これを一つに要約すれば「変化に挑戦しうる人」といえようか。

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