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建築家のためのウェブ発信講義

書誌

authorアーキテクチャフォト・後藤連平
publisher学芸出版社
year2018
price2100+tax
isbn978-4-7615-2670-2

目次

1感想
2抄録
3122.

履歴

editor唯野
2019.4.3.読了
2019.4.17公開

Amazonでの評価が高かったので読んでみたのだが、個人的には肩透かしを喰らった感じだった。商売としてWebをどう扱うか、特にそれを建築家向けとして扱っているのが本書の特徴である。しかし、内容的には必ずしもそうではなく、別に建築家でなくても通用する総論と、実際の建築家の事例紹介で成り立っている。

また、SNSの有効利用などにも触れられているが、技術的な突っ込んだ話はほぼないので、あくまで想定するのはWebに詳しくないが興味はあり、しかしアクションは起こしていない建築家という感じである。しかし、今日では興味のある人ならとっくに何らかのことはやっているだろうし、そうであれば本書で得られる程度の知見は了解済だと思われるので、既に何らかのことをやっている人にとっては物足りない内容だと思う。

例えば、本書では継続したウェブ発信のためには、想定する読者から逆算した内容を、かつ自身が続けられることで構成する必要性が説かれているが、これは別に他の商売でも全く同じであろう。

また、著者は建築家の設計行為はホームページの構築行為に類似していると指摘しているが、私はあまりそう思わない。というのは、本書で著者自身も総括しているように、ウェブの世界では変化し続ける(=完成がない)のが常態であるが、通常の建築物には竣工という明確なひとつのゴールがあり、また一度建てられはじめた建物は簡単に大きく変えることが難しいからである。むしろ、そういう仕様を明確化しながら後戻りのできないものに収束していく世界と、いつでもやり直せて大きな修正もできるバーチャルな世界との垣根を上手く越えられない人こそが、本書の想定する真の読者なのではないかと思った。

抄録

14

また、掲載される作品はそれぞれのメディアの「編集」を経て読者に届けられます。メディアによる編集という行為は、あなたの建築作品をより良く見せることに寄与するのは間違いありません。しかし、編集によって強く作品が方向づけられ、読者にとって特定のバイアスがかかるとも言えるのです。それはつまり、良くも悪くもあなたの建築作品は、編集者の見せたい切り口で読者に届けられるということです。

それはもしかすると、あなたの建築を伝える最適な方法ではないかもしれません。

17 cf.18

そのうえで、誤解を恐れず端的に表現するならば、建築の世界には、「学問としての建築」と「ビジネスとしての建築」という大きく分けて二つの側面が存在していると思っています。

20

建築家の皆さんがつくる「良いもの」について、「適切な方法」で行うウェブ発信は、より早く、より広く社会に伝えるための「拡声器のような役割を果たす」と想像してください。

22

にもかかわらず不思議なのは、ウェブ発信が画一化する傾向にあることです。建築家が自身の強みを活かして仕事をしているのですから、そのウェブサイトもそれぞれの個性に合わせて独自のデザインや構成になっているのだろうと思うのですが、現状はそうはなっていないことがほとんどです。

24

自身がホームページの編集長であるという意識を持ち、自信の仕事を俯瞰的・客観的に眺めてみる。自身の建築家としての強みを分析し明確にする。そして、それに即したレイアウト、コンテンツを考えつくる。こうすることで、すでに存在している建築家としての良さを、より広い範囲に発信できるはずです。

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