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稀書自慢 紙の極楽

書誌

author荒俣宏
publisher中公文庫
year1997
price1150+tax
isbn4-12-202798-5

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2013.1.15読了
2013.3.3公開
2013.3.13修正

著者の洋古書蒐集についてを書いた本。私も20代のときは本をため込む一方の一種のビブリオマニアであった。そこでは「蔵書を減らす」という発想がなかった。しかし、最近になっていわゆる「自炊」が可能になり、それで私も雑誌などは大幅に「自炊」して処分した。また、ネットの発達は古書店にて長年探し求めていた書物との出会い、即ち一期一会の喜びを奪ったものの、逆に大抵の本であれば旧刊であっても自宅で居ながらにして入手することが可能になった。恐らく今後はこれに加えて電子書籍の普及が挙げられるとは思うが、読書をめぐる環境がこれほどまでに変化する時代が来ようとは、著者や(その師匠である)紀田順一郎氏も想像できたのであろうか ? と思わずにいられない。

その意味では、本書は本来の意味でのビブリオマニア??それも、かなり幸せな類??の生態を描いた本である。というのも電子書籍の時代ではビブリオマニアの定義も変容しかねないからである。恐らく、電子化が進めば進むほど、それは懐古趣味を伴ったものになるのであろう。もっとも、それゆえにこそ紙の本に執着する人も出てくるのかもしれないが...

抄録

52 cf.54

さて、装幀家と並んで書物保存の実をあげた恩人は、いうまでもなく愛書家である。著名な蔵書家トマス・フログナル・ディブディンが『ビブリオマニア』(一八〇九)なる著書を公けにして以来、“狂”の字が付く蔵書家の生態は天下にさらけだされたといってよい。「本あつめというのは、古今の名医がすべて見逃してきた病気である。余はここに、この破滅的病の諸症状をはじめて公開し、同病諸氏にいささかなりと治療の慰めを提供せんと欲するものである」との、ディブディンによる愛書家病気説が流行しだしたのも、当然だった。なにしろ、この人たちは人生よりも本を大切にしたのだから。-/-

83

そのころアメリカでは、雑誌を読む層がインテリの大金持に限られていた。識字率八十五%強、日給にして一ドルそこそこの収入しかない一般市民が、一部二十五セントもする高級雑誌を買うこと自体、あり得ない話だった。

ところが、マンシーの『アーゴシー』は、百九十二ページのオール冒険小説で、値段がなんと十セント。しかも、極力平易な英語で書かれていたために、発売直後から爆発的な人気を呼び、十年後の一九〇七年には実売五十万部を誇るメジャーメディアとなった。

この成功に刺激され、各社が同じフォーマットで小説専門雑誌を乱発するさわぎとなった。これでアメリカの大衆文学は一気にレベルアップした??とはいわないけれど、少なくとも一気に多彩になった。ターザンも、SFも、ホラーも、西部劇も、パルプマガジンが生まれなければ、あれだけの発展は見なかったかもしれない。

95 cf.96

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