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古書収集十番勝負

書誌

author紀田順一郎
publisher創元推理文庫
year2000
price600+tax
isbn488-40604-1

目次

1感想

履歴

editor唯野
2001.11.18読了
2001.11.18公開
2001.11.22修正

というわけで紀田順一郎のビブリオ・ミステリを続けて読んだので、もう一冊取り上げる。こちらは 『古本街の殺人』 から一転してコレクター側ではなく古本屋そのものを舞台にしたお話である。あらすじは古書店の跡取をめぐる十冊の本による古書の収集合戦で、これにコレクターの大学教授やマニアが登場するという次第。私は本書に登場するほどのビブリオ・マニアではないし、そもそも大衆本というジャンルにも疎いので、争奪戦の繰り広げられる 10 冊はもとより他の書籍にしても知らないものばかりだった。(辛うじて著者なら一部は知っているという程度。)しかし、著者がこの点で手を抜くとは考えられないので、いずれも稀覯本なのは事実なのだろう。

総じて前半は少し展開が緩慢かなという印象だったのだが、クライマックスとなる笠舞邸でのセリの場面を含む後半になると、さすがに読む手が止まらなかった。一部、喧嘩の文言など少し世間ズレを感じたものの、セリの部分だけでも十分おもしろい。私は以前、青木正美という人の『古本屋四十年』(福武文庫/1992)を読んで、初めてセリの具体的な様子というものを知ったのだが、本書ではもっと読み物としておもしろい臨場感のあるものに仕上がっている。また、幕切れも妙な間延びがなく秀逸である。

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