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未開の顔・文明の顔

書誌

author中根千枝
publisher中公文庫
year1990
price520
isbn12-201729-7

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2000.10.18読了
2000.10.24公開
2002.4.9修正

著者は社会人類学者で『タテ社会の人間関係』で著名な人。この本は著者が 1953 年から 57 年にかけてアジア・ヨーロッパを留学した際の紀行記をまとめたものである。私は本書を読むまで『タテ社会の人間関係』での先入観から日本が専門の人なのかと思っていたら、(本書を読めば分かることであるが)チベットなどの方が本来は専門の方のようである。

そんなわけで時期的に古いせいか単純な未開(悪)-文明(善)のような論調も一部にはあるものの、やはり視点は鋭いというか読んでいておもしろい本になっている。上野千鶴子などの本を読んでも思うのだが、学者な女性の書く旅行記に外れがないというのは一考に値するのではなかろうか。

抄録

11

こうした世界に入ったはじめの半年ばかりというものは、強烈な刺激と神秘への好奇心で夢中に過ぎて行くのであるが、そうした一定の時期を過ぎると、神経がくたくたになり、自分の常識とか尺度が片っぱしから無力なものとなる不快さを味わわされる。-/-

そうした時機を苦しい暑さとともに過ごしているうちに、やがてモンスーンが終り、熱帯にもヒマラヤの涼風が吹き出すようになるとともに、「インド」が底知れない、母なる大地の女神の愛のように、やさしく、そして力強く私を包みはじめたのを覚えた。-/-

15

インド東北のバングラデシュからミャンマー・チベットに至る山岳地帯がアッサム。

19-20

-/-女は弱いんだから、自分たちのように財産は女に持たせるべきだ。日本の女の人たちはかわいそうだという。ガロ族は世界でも珍しい「母系制」をとっている民族で、結婚すると夫は妻の家、あるいは妻の村に来て住み、家、財産、子供はみな妻に属し、家、財産は娘の一人に相続されるのである。

24

-/-こういう未開民族の地帯では、その地方、地方に有力者がいて、「よし、引受けた」といったら万事オーケーである。奥地旅行にはこうした有力者をリレー式に利用して入って行くわけである。政府の役人など奥地ではなんの役にもたたない。-/-

29

-/-ガロ族は夫婦の一人が亡くなると、すぐそのお葬式の場で親族一同(村人はみんな親類になっている)で、あとがまをきめる習慣になっている。すでに娘が婿をとっている場合には、夫が亡くなると、同時にその婿を夫とする。すなわち、婿は義母の夫をつとめ、母娘二人の夫となる規則になっている。だからガロ族の間には未亡人とか、やもめの男は殆んどいないのである。

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