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悩む力

書誌

author姜尚中
publisher集英社新書
year2008
price680+tax
isbn978-4-08-720444-5

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
?.6.25読了
2012.3.17公開

近代以降の抱える諸問題(個人、自我、自由、お金、労働、知性、信仰、生と死、人生、愛など)を平易な文章で捉えつつ、その解題とどうするべきなのかという示唆を、近代初期に同じように苦悩した夏目漱石とウェーバーというふたりに重ね合わせながら論じた本。個人的にはあまり新鮮味はなく、近代を読み解く上での漱石・ウェーバーという切り口も目新しいものではないと思う。

本書でも述べられているように、近代以降の孤独化した個人にできることは、それが棘の道であろうとも、それも含めて個人で考え続けていくというところにしか結局はなく、それがウェーバーの選んだ道でもあり、それこそが個人の得た自由の対価、大げさにいえば代償ということである。(それを放棄して他律的に何かを信仰するのもアリなのだが、それを選ぶのもまた自分という個人なのだから...)

上記の問いに対して著者は別の道を提起しているが、ちょっと論旨としては弱い感じがする。全般的になだいなだチックといえばそんな感じもするが、それよりは底の浅い感がある。どちらかというと中学生・高校生などの若い人向けと思われる。

抄録

13-14

ボーダーレスに広がる情報ネットワークと自由でグローバルな市場経済。誰もがその豊かさと利便性に与(あずか)り、可能性としては多くの夢が約束されているように見えます。

しかし、実際には新しい貧困が広がり、格差は目を覆いたくなるほどに拡大する一方です。

しかも、だれもが新しい情報技術とコミュニケーションを通じてつながっているように見えながら、人と人との関係は、岸辺に寄せては消えていく泡のようにはかないようにも見えます。少なくとも日本や韓国を見る限り、多くの人びとがかつてないほどの孤立感にさいなまれているのではないでしょうか。-/-

加えて、われわれにとってたいへんな重圧となっているのは、「変化」のスピードが猛烈に速いということです。

30

ただ、デカルトは、思惟を属性とする精神と、延長を属性とする物体とを峻別し、近代の機械論的な自然観の基礎を築いたのですが、他方で、その後の哲学に大きな課題も残しました。つまり、デカルトの二元論的な世界像に立つ限り、心身の関係をどう説明したらいいのか、きわめて困難な問題が残されるのです。

さらにそれと関連して、「他者問題」が未解決のまま残されることになりました。つまり、自分の中に、自分を中心としてものごとを考える自我というものがあるとすれば、他者の中にも同じくものごとを考える自我があるわけで、自己と他者の関係をどのように根拠づけるのか、この問題がデカルト以降の重要なテーマとして残されたわけです。

37

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