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臆病者のための裁判入門

書誌

author橘玲
publisher文春新書
year2012
price780+tax
isbn978-4-16-660883-6

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2019.12.4読了
2019.12.26公開
2019.12.27修正

著者が友人である在住外国人が巻き込まれた交通事故の保険金を巡る裁判の代理人として、少額民事訴訟に関わった顛末を取り上げるとともに、日本での少額民事訴訟の実態やADRなどについてを解説した本。恐らく著者の他の本を読んでいなければ読む機会もなかったような気がするが、このご時世において一般人が訴訟に巻き込まれる可能性も全くゼロではない以上、実際に読んでみるとこれはこれで勉強になった。

確かに法律家への相談窓口として何があり、現実の裁判がどういう流れであるかというのは、学校で教えてくれるわけではないので新鮮だった。一方で、著者の関わった裁判でも過去の判例その他から「ほぼ結論は既に出ており、実際にもそうなった」という過程も「なるほど」という感じである。また、それでも結果的には3年近い時間を要し、手続きの進め方や証拠の使い方にもポイントがあるという点でリアリティがあった。

そういう意味では、書名の通り「(実践的)裁判入門」というのは正しい。巻末には福島の原発事故に伴う損害賠償請求やそのためのADRについても触れられているが、これも廃棄できない核燃料とともに看過できない大きな問題を将来に残していると思う。

抄録

9

最初に断っておくが、「裁判入門」といっても、本書で扱うのは刑事裁判ではなく民事訴訟で、それも数万円から数十万円といったきわめて少額の話だ。-/-

-/-だが刑事事件は、平凡で堅実な社会生活を送っているひとにとって身近なものではない。

10-11

日本の民事訴訟の特徴は本人訴訟の割合が高いことで、地裁の事件のうち22.6%が原告・被告ともに本人訴訟、高等裁判所でも7.9%が双方ともに本人訴訟で、原告・被告のいずれにも弁護士がついた事件は高裁でも6割にとどまっている。

簡易裁判所ではこうした傾向がさらに顕著で、通常訴訟55万798件のうち当事者双方に弁護士・司法書士などの代理人がついたのはわずか2.8%しかなく、全体の97%超で原告・被告いずれかが本人訴訟だ。双方が本人訴訟のケースも32万件超と半数を超える-/-

12

少額の民事訴訟が本人訴訟で争われるのは、弁護士が扱わない(相手にしない)からだ。ほとんどの法律家は、請求額がきわめて些少で割に合わない少額の民事事件の実態をほとんど知らない。-/-

14

それなのになぜ、当事者同士で解決ができず、裁判間へと泥沼化していくのか。すべての関係者が穏便な決着を望んでいるにもかかわらず、当事者に大きな負担をかけてまで、多額の税金が投入された司法の場にささいなトラブルを持ち込まざるを得なくなることに、この国の少額民事紛争の問題が集約されている。

15-16

-/-弁護士資格を持たない私が、原告の「代理人」になるのはおかしいのではないか ?

-/-それは、原告が外国人(オーストラリア人)だったからだ。

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