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パプリカ

書誌

author筒井康隆
publisher新潮文庫
year2002
price667+tax
isbn4-10-117140-8

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2009.5.6読了
2009.5.22公開
2009.5.23修正

やはり筒井康隆はサイコものがおもしろいなあと感じた本。著者が断筆宣言をする直前に上梓した本ということで、七瀬三部作や『夢の木坂分岐点』につながっていく作品だと思う。もちろんGWの終わりに一気に読ませてもらった本だった。物語が次第に夢と現実の交錯という流れになっていくことは予想できたものだったけれども、そんなくだらない突っ込みなど相手にしなくても十分におもしろいのはさすがだと思う。考えてみれば断筆宣言以降、長らく筒井康隆も読んでいなかったので、未読になっている最近の本も読もうかという気持ちになった。

抄録

主要登場人物

千葉敦子主人公=パプリカ、時田とともに研究をしている
時田浩作精神医学研究所の研究員でノーベル賞の候補者
島寅太郎精神医学研究所理事長、お人好し
氷室時田の助手、DCミニの犠牲者となり行方不明になる cf.174
柿本伸枝千葉の助手
乾精次郎精神医学研究所の副理事長。千葉や時田と対立し理事長の椅子を狙っている cf.170
小山内守雄若い研究者、乾の手先で同性愛の関係にある cf.169
羽村躁子婦長、小山内の女
能勢龍夫自動車メーカー重役、島の友人でパプリカの治療を受ける
粉川利美警視庁幹部、能勢の友人、パプリカの治療を受ける
難波能勢の部下、
陣内バー「ラジオ・クラブ」のマスター
玖珂バー「ラジオ・クラブ」のウェイター

30 cf.147/166

「まあ、人間の大部分が不安を持たないで生きているってことの方が、どちらかといえば説明を要する不思議なことでね」

114-115

「そうそう。例の『DCミニ』だけどさ。ゆうべ遅くに、できたよ」

短いエッセイを一篇仕上げたほどの気軽な口調で時田は言った。Dはダイダロス、Cはコレクターの略なのであろう。時田がポケットの中から出して敦子の机の隅に置いたそれは、底面の直径が六、七ミリで高さ一センチほどの円錐形をした物体だった。

「これがあのユニットなの。ケーブルは」

「ケーブルいらない。ダイダロスと同じだ」

「ああ」敦子は讃嘆の吐息をついた。「とうとうできたのね」

「うん。互いの脳に互いの夢内容を伝達するんだから、ファイバー束なんてものは役に立たない。せっかく生物化学素子使うんだから、むしろ生体エネルギー準位の自然幅を利用してシナプス伝達型通信方式を応用した方がいいんだ」

149

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