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太公望・王羲之

書誌

author幸田露伴
publisher新潮文庫
year1956
price440
isbn10-150081-9

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2000.5.1x読了
2000.5.21公開
2000.7.17修正

中国の先人についての随筆。取り上げられているのは表題のふたりと、法顕、李斯、楊貴妃、ほかに米元章、蘇東波などといった詩人たちである。これは、解説によるともともとは改造社社長に強要されたのが初出(「太公望」)だという。合わせて、三好達治による激賞の文章が紹介されているが、個人的にはちょっと同意できなかった。確かに文章は軽妙であり変な意味での癖もないが(著者のいう「野暮の灰汁が脱けている」という表現は洒落ているものの :-))、やはり思いついたことを文字通り書いていっただけのように感じるところもままあったからである。例えば、私にとっては太公望の正しい名前などあまり重要なことではなく、それは当然ながら冗長な印象として残ったということである。ただ、全部が全部そうというわけではなく、李斯の箇所などはおもしろかった。というのも、一般に李斯という人は始皇帝を補佐した冷徹な法家として見られることが多いため、それとはちょっと違う視点の示されている点では興味深かったからである。そんなわけで全体にすると可もなく不可もなくという感じの残る一冊だった。

抄録

59

唐の太宗は大変に王羲之の書が好きだった。それゆえ、王羲之の書は中国の各時代の中でも特に唐の時代に尊ばれた。

67

現存する中国古典の名著であっても、多くは後世の人間による修正が施されているのであり、著者の文章がそのまま残されていると考えるのは難しい。

75/77

諸葛孔明は劉備玄徳に天下三分の計を授けたが、李斯は初めから始皇帝に天下統一の計を授け、のみならずそれを実現した。そして、天下を統一したからこそ、度量衡や文字を一律のものとした。

83

-/-秦の焚書の事は、平正に史実を考へ、情理を究めて然る後に兎角をいふべきことで、一般の人の信じてゐるやうな暴悪なことを李斯が為させたらうとは考へられません。そのやうな粗暴なことをすゝめるやうでは、秦をして亡滅するに至らしめた所以は解るにしても、秦をして天下を統一するに至らしめた所以を解することが少しも出来ませぬ。-/-(旧字は新字に改めた:唯野注)

84

漢は秦を破って作られた国であるため、秦のことを悪し様に取り上げてはいるが、その諸制度はいうまでもなく秦のそれを踏襲したものだった。法三章を用いたのも一時のことに過ぎない。それは蕭何・曹参のやったことを見れば分かる。

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