ホーム > 読んだ >

田中秀征の論跡

書誌

author田中秀征
publisher近代文藝社
year1995
price1500
isbn4-7733-3815-6

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2018.1.14読了
2018.4.25公開
2018.5.3修正

著者は新党さきがけの理論的指導者として五十五年体制の終焉に関わった人である。小選挙区制導入により落選し、以降は政界から距離を置いているので、少し過去の人っぽい扱いも残念ながらある。とはいえ、(私も主張の全てに同意できるわけではないが)それでも戦後の日本が生んだリベラリストの系譜に連なる人であり、官権政治からの脱却などは全く同感である。特に国際的にも身の丈に合った覇権主義を目指さない政治姿勢は大いに共感できるところで、既にGDPでも中国に大差をつけられ人口減により国力の衰弱が確実な現在の日本において、やはり氏の主張は先見の明があったと改めて感じる。

政治に限った話でもないが国力のある時期に「冷戦後」を見据えた明確な転換なり、少なくともそれまでの膿を出し切れなかったところに現在の日本の混迷した立ち位置があるのは間違いなく、その結果ますます様々な問題が、その場しのぎ・先送りを繰り返している。政権の支持率を気にするあまり増税さえできないのは既に末期症状というべきだろうか...

抄録

2

郷土信州に縁のある近代文藝社から、本書の出版の申し入れを受けたときも、私の手元にあるものは限られており、ほとんどが散逸してしまっていた。ところが、出版社との窓口になってくれた五明紀春君(女子栄養大学教授)は、私の書いたものをほとんどとってあるという。行動する立場になってからのものばかりでなく、学生時代の断片的な文章まで持っているというから驚いた。彼は高校時代からかれこれ四十年近くの間途切れなく私の最も近くにいた友人だ。選挙のときも大学を休講して私の選挙の指揮までとってくれた。本書は私の文章の中から彼が自分の眼で選んでくれたものを収録したものである。

19

-/-「尊敬する人」の答えに書いたことがあるかどうかは忘れたが、私はイギリスのチャーチル首相のファンである。これはふしぎと子供の頃から一貫している。-/-

21

チャーチルは、ここで苦悩に満ちた決断をする。いくつかの港に停泊中のフランス艦隊の撃沈である。それは驚くべき英断であり、驚くべき実践であった。フランス艦隊は、かくしてヒトラーの手に落ちる寸前に壊滅させられる。

チャーチルはこの艦隊撃沈の決定を「もっとも人間性に反し苦悩に満ちた決定」と記している。夫人によれば、この一件は生涯彼の心に重くのしかかり、決して頭を離れることがなかったという。

23

チャーチルの偉大さは、分をわきまえた民衆の持つ驚くべき洞察力と判断力、そしてしたたかさを熟知していたことにある。しかもそれがしばしば為政者のそれをはるかに上回るほどの水準にあることも彼は知っていた。なぜなら、「だからこそ人類史は続いてきた」ではないか。

25 cf.135

全文を読まれる場合はログインしてください


Up