書斎からの空飛ぶ円盤
書誌
author | 高橋克彦 |
publisher | マガジンハウス |
year | 1993 |
price | 1200+tax |
isbn | 4-8387-0443-7 |
履歴
editor | 唯野 |
? | 読了 |
2016.10.26 | 公開 |
本当に昔に読んだまま放ってあった本で、元々は『ダカーポ』誌に連載されていたものである。(まあ、その『ダカーポ』も今ではありませんが...)私はいうほど著者の本を読んでいるわけではないが、それでもこの連載は楽しく読んだ記憶がある。『ダカーポ』誌自体、後には単なるサブカル・雑学雑誌となってしまい、創刊当時の硬派な感じは全く消え失せてしまうのであるが、この頃はまだそれなりに読むところがあって、また実際に私も定期購読していた。まあ、サブカル的なものこそ真っ先にインターネットによって淘汰されていったのも時代の趨勢ではあったと思うが、こういう雑誌にはもう少し頑張って欲しかった気がする。
# 何だか全く書評になってないな...
抄録
61/63 cf.125/144
いまさらこんなことを書いたところで意味のないような気がしないでもない。幽霊と一緒で、どんなに口を酸っぱくして力説しても、見たことのない人は信じてくれないだろう。なにかの見間違いだ、とか、作り話だと簡単に否定される。私自身は、決定的なUFOを目撃した経験がなく、したがってそういう悔しい思いをしたことは滅多にないけれど、UFO目撃者の大半は、それが原因で人に話さなくなってしまうことがあるようだ。考え方によっては幽霊よりも始末に悪いのである。-/-
そこでさっきのたとえに戻る。あなたは中学生に対して「人生はもっと厳しい」と忠告できるだろうか。自分が経験していない恋愛問題についてあなたはなにを言えるだろう。詭弁だと笑うかも知れないが、第三者から眺めると、それがあなたの態度なのである。-/-
87-88 cf.210
江戸の歴史を調べていて羨ましいと思うのは、江戸人の屈託のない明るさである。火事が頻繁だったために持ち家とも無縁で、ほとんどが狭い長屋暮らし。出世も武家社会における町人では無関係。社会保障もなければ、結婚できない男たちがごろごろしていた。仕事にしてもたいていは日雇いで、恐らくやり甲斐のあるものではなかったに違いない。条件は今の若者たちより遥かに悲惨だ。なのに、心底笑って生きている。その理由は子供の頃から飢え付けられている宗教心にあったのではないか ? 江戸人は仏教における地獄と極楽を無条件に信じていた。現世は仮の世であると思っていたからこそ、現実の過酷さに耐えることができた。まさか、と笑う方もいるだろうが、その典型が今のインドである。-/-
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