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知の収穫

書誌

author呉智英
publisher双葉文庫
year1997
price630
isbn575-71091-1

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2002.11.6読了
2002.11.10公開
2002.11.11修正

呉智英も久しぶりだ。これは氏の真髄ともいえる書評を集めた本である。私はこの人の主義主張に関しては素直にうなずけない部分の方が多いけれども、この人の読書家としての部分は大したものだと思う。『読書家の新技術』(朝日文庫)も実際に好著であるし、本書もなかなか優れている。特徴的なのは漫画の書評に積極的なところだろうか。それだけでなく、文庫や新書も区別なしによく取り上げられている。

とはいえ以下の読書ノートとして収めてあるのは書評の本文だけだ。これはという書名は別の「探書ノート」につけておくのである。もちろん、これも学生時代からの分が積もり積もっているため、今や膨大であり、もちろんその全てを揃えるなど金銭的にも不可能である。しかし、おかげで読書の楽しみなるものが尽きるということもない。そういう意味でも読書子にとって書評は極めて重要なのである。

抄録

5

本は時代を映す。ベストセラーは最大公約数的時代の雰囲気を反映する。反対に、少数の読者に確実に読まれている本には時代への違和感が漂っている。正の形であれ負の形であれ、本は時代を映すのだ。本を読むことによって、時代も、また時代の中に兆している変化も、読み取ることができる。本を語ることによって、時代を語ることもできる。

これは本書の冒頭を飾る「はじめに」より。

17

まず、序文の楽しみというものがある。普通の本なら、序文や後書きは、その本の理解を助けるために必ず読まれる。しかし、これも書物としては変なことに属するのだが、辞書の序文が読まれることは少ない。ところが、読んでみると、これが実に面白いのである。ただし、名辞書の序文でなければ面白くはないのだが

27

同じことというのは、生命である。その両側面とは、安定と変化である。生命は、安定していなければ死がしのび寄るが、変化がなければ成長もできない。生命を、個体ではなく種(スピーシズ)で考えた場合も、安定しているからこそ、犬は犬という種であり、雀は雀という種であり、同時に、変化しているからこそ、ある種から別の種が生じる進化ということもあるのだ。

36-37

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