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悪刑事(わるでこ)

書誌

author森巣博
publisher徳間文庫
year2008
price762+tax (上)
isbn978-4-19-892889-6

履歴

editor唯野
2010.03.19読了
2011.10.04公開

警察ネタの多い気がする森巣博の小説の方。感じとして私の好きな殿山泰司に近いので同様に好きなのだが、殿山泰司ほどはハメを外さないというか毒が強いというか、そういう傾向があるように思う。

いうまでもなく、世の中にはまじめな警察官もたくさんいると思うのだが、同時にその力を悪用する人も当然いるわけで、それは何も警察官に限った話でもない。著者お得意のギャンブルネタもきちんと入っており安心して読める一冊である。

まあ、勧善懲悪とはいかない結末も今という時代を反映していて、それが一番の皮肉になっているように思う。

主要登場人物

名和平太 主人公
速水遊 同僚
扇真美 被害者 cf.419
麗ちゃん 被害者の友人 cf.313-314/368-369/386
田福 警察の偉い人

抄録

7

警察官の定員は警察法で定められている。警視庁の場合は、東京都令規でも決まっている。ところが警察官というのは、やたらと中途退職者が多い職業なのである。

「事件化」してしまったような不祥事を起こせば、もちろん懲戒免職となる。いらぬお世話かもしれないが断っておくと、「事件化」してしまったような不祥事を起こすと懲戒免職となるのであって、「事件化」しない不祥事であるならば、昇進にはそれなりに影響があるものの、事実上問題とならない。-/-ちなみに「事件化」というのは、正規の警察用語だ。

10-11

警視総監については、説明の必要があるまい。すなわち警視庁のトップ。警視監というのは、役職で説明すると、警視庁では、次長、局長、管区警察局長に当たり、警視庁では、副総監に該当するものだ。

つまり、警視庁採用の国家公務員第I種合格者のキャリア官僚は、雲の上の存在だった。連中はその雲の上を、特急列車で駆け抜ける。

一方、地元警察本部採用の地方公務員特別職試験合格のノンキャリア警察官は、地べたを這いずり回る。各駅停車の超鈍行。しかもこの鈍行列車には、多くの場合、三つしか停車駅が用意されていなかった。

巡査、巡査部長、そして警部補。そこで打ち止め。

警部、警視に慣れるのは、ほんのひと握りの警察官だけである。それもほとんどは、警察内部で有力なコネを持つ者、間違って大手柄を建ててしまった者。不祥事を起こした上司のケツを救った者、すなわち、重大「事件」を「事件化」しないで揉み消した者。

14 cf.163

『警察法』第六三条によって、上司上官の命令には絶対服従することが義務付けられているからだった。

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