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ユーコン漂流

書誌

author野田知佑
publisher文春文庫
year2001
price476+tax
isbn4-16-726913-9

目次

1感想
2抄録

履歴

editor唯野
2013.1.4読了
2013.1.13公開

野田知佑の本を読むと何とも気持ちがいい。この人の自由な生き方がこちらにも伝わってきて、こちらの気持ちまで軽く自由にさせてしまうからだ。だから最近では逆にこの人の本を読むときは「私自身もそういう気分になりたいとき」なのかもしれない。本書は3年がかり、のべ半年をかけてユーコン川を上流から河口まで下った際のエッセイだが、この人の本で内容のことをとやかくいう必要はないだろう。今の自分にはないものに対する「うらやましさ」が「嫌味」にならない、その「自然体」にすごく「共感」させられてしまうのだから。

抄録

17

ユーコン川を下る、というと日本では冒険と考えられているが、それは間違いだ。ユーコン川下りなどは初心者や幼児にでもできる。毎年、二?三〇〇〇人がこの川をカヌー、カヤック、モーターボート、ゴムボート、筏、川舟、遊覧船などで下る。

カヌー、カヤックで下る人が一番多いが、そのうちの大半はカヌーは二回目、三回目という初心者だ。カヌーは初めてという人も多い。-/-

93/100 cf.165

「この生活で何が一番気に入っている?」

「自由だ。何でも自由にできるってことだ。おれに命令する奴がいない」

人間が自由であるためにはある程度の大きな空間がいる。このあと、ぼくは川を下って行ったが、八日目に次の村に着くまで一人の人間にも会わず、小屋も見かけなかった。カールは人間の影響をほとんど受けていない無垢の自然を自分の王国として持っていた。「こんな所に一人で生きていれば、何か事故があったとしても助けは得られないから、そのまま死ぬしかないだろうな。それは仕方がない。-/-

「なぜ、アラスカの山中の生活が好きか」

という問いにカール・コーハンは答えたものだ。

「それが full life だからだ」

フルライフ。自分の能力を一〇〇パーセント使って生きる日々。体のすみずみ、一本一本の指先まで全部使って生きる生活。

肉体的にはハードだが、そういう生活には根源的な充実感がある。理屈抜きの充足感がある。

102

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